今年の梅雨宣言はとても早かったにもかかわらず、カラッとした晴天広がる梅雨。
例年でも早い梅雨入りで例年でも類を見ない小雨量という、なんとも皮肉な走り出しとなりました。
しかし、いままでの晴天分を補うように台風4号が日本列島に向かっているとのこと。
この時ばかりは、台風でも恵みとなるでしょうね。
そんなこんなで、関東が雨雲に覆われるちょっと前の晴天の日、近所の山へシオデをを求めてやってきました。
シオデ【牛尾菜】サルトリイバラ科(ユリ科)シオデ属
北海道~九州の山地、原野に自生する多年性つる植物。雌雄異株であり、別名『山のアスパラガス』と呼ばれる。
春になると地面から茎が伸び、やがて葉脈から出る托葉(たくよう)から変化したつるが他のものにからみつきながら生育する。
夏になると葉の脇から長い花茎を出して、淡黄緑色の小花を球状につける。雌株は秋になると、球形の液果が黒く熟す。
山形では山菜の王といえば本種である。また、秋田県の民謡に『ひでこ節』という歌があるが、この歌は本種を採取する様子を歌ったものである。
シオデはクセがなく非常においしい山菜なのですが、シオデは群生しないため大量に採取することは出来ません。
そのため、タラノメやウルイ、ウドのように市場でもなじまれる山菜にはなれませんでした。
その昔、山形のとある道の駅にシオデが売っておりましたが、そのときの値段が200gで2500円位・・・ひえー。
最近では人口栽培の研究がされていますが、種子栽培となると、非常にコスパが悪いためまだまだ市場で見かけることは出来ないでしょう。シオデの種は発芽するまでおよそ1年6ヶ月の休眠に入ります。その後、茎が満足な太さに成長するまでおよそ7年もの年月が必要となります。ここまで単純計算で8年6ヶ月の計算になります。
さらにシオデは採取した翌年の発芽率は悪くなります。そのため、安定した供給を行うには隔年収穫となってしまいます。いくらおいしくてもここまで実入りの期待が持てないのでは、まだまだ栽培も難しいでしょうね。
そんな貴重な山菜ですので見つけるのもなかなか骨が折れました。

とはいっても、この株は少し成長が進んでしまっているし、茎自体もまだ細いですが、これでも十分おいしくいただけます。
成長が進んでいる株は、根元から採取するのではなく、やわらかい先端を採取するようにしましょう。
そうすれば脇から新しい芽を出して成長します。

全ての葉脈から2本のつるが対になって出てきています。
これを他の植物に絡ませながら成長していきます。
また、シオデ生育しているをころには、同じサルトリイバラ科のヤマカシュウとサルトリイバラが生育する。
サルトリイバラは葉の形がシオデより丸い卵型をしており、茎に鉤爪状のトゲが生えるので判別できる。
ヤマカシュウは見た目がシオデとよく似ているが、茎に細いトゲがたくさん生えているので判別できる。しかし、ヤマカシュウには『トゲナシヤマカシュウ』という種も存在するため非常に面倒なやつです。

葉っぱの影でシュレーゲルアオガエルが夜の合唱に備えてお休み中でした。
シュレーゲルアオガエルはモリアオガエルと同じように泡状の卵塊を作りますが、モリアオガエルは畦からせり出した草木に作るのに対して、シュレーゲルアオガエルは畦沿いの土の中に産みつけます。

モミジイチゴの実もなっていました。こちらの実もおやつとして採取していきます。
モミジイチゴは葉の形がモミジの形に似ているのでこのような名になりました。また、他の野イチゴと違って黄色い実をつけるため『黄イチゴ』という別名もあります。
モミジイチゴは東日本に生育しており、近畿以西~九州に生育するナガバモミジイチゴの変異種です。
種としては分けられていますが、どちらも同じように実は食べることができます。

こちらはウグイスカズラの実です。この赤い実も食べることができます。おやつとして採取しましょう。
本州~九州の山地に分布する日本の固有種。3mほどの樹高の木になります。
似たような赤い実をつけるヒョウヤンボクという植物もありますが、ヒョウタンボクの実は有毒ですので間違えないように注意しましょう。

なんだかんだ道がそれてしまいましたが、本来の目的である良質なシオデにようやく出会えました。

これでもまだ細いほうですが、これくらいの太さになると山のアスパラガスと呼ばれるのも分かるような気がします。

地面から発生してからまだ葉をのばしていないシオデの先端部。
アスパラガスの先端みたいです。

なんだかんだでシオデ採りは終了。今回はこれくらい採取できました。
しかし一日中、山中を歩き回っても良い太さのものに出会えたのは2本だけ。
やはり貴重な山菜です。
まぁシオデをメインで狙って山に入っても一本も取れないことなんて良くあることです。山菜取りのうまい人ですら、シオデはメインでなく他の山菜を採取する際に一緒に狙うという方法の人がほとんどです。
そういった事情の中、2本も採れただけでも十分でしょうね。

そんなこんなで採取に苦労したシオデは塩湯でして酒の肴になりました。
うーむ、さすがは山菜の王様。いやなクセはなくさっぱりとしたおいしさでした。